すらっとした男ってかっこいいよね。


すらっとした男ってかっこいいよね。
ああいう人になりたかったなあ。

僕は身長は普通よりちょっと低いくらい。やっぱり身長がある男性を見るとああなりたかったと思ってしまう。
そうしたら今頃もっとモテたかもしれなかったのに。
まあ、しょうがないけどね。
「ん?」
考え事をしながら歩いていた僕は、とある路地の前で足を止める。

そこはさっきまで僕が立っていた場所よりもさらに裏側の通りだ。
普通の人はまず通らないし、そもそも道があるのを知らない人も多いんじゃないだろうか? その路地は建物と建物の間にあるからか、薄暗くて昼間でもどことなく気味が悪い。夜になったら灯りの一つもなくて真っ暗になるんじゃないだろうか。
そんな裏道から僅かに声が聞こえてきたのだ。
「……」
何だろう? 僕は声のする方へと足を向ける。
そうして、暗い路地を進むと、そこには一人の少女が立っていた。
「……」
僕はその少女に見惚れてしまった。
さらりと流れるような美しい銀の髪。幼い顔立ちは将来絶対に美人になると確信できるほど整っている。何より身に纏った純白のドレスが銀髪に良く似合っていた。
少女は僕に背を向ける形で立っているためどんな表情をしているのかわからないが、なぜか肩を落として落ち込んでいるように見える。
そんな少女の姿に僕は完全に心を奪われていた。
だから、だろうか。僕は注意を怠り、足下にあった何かに躓いて転んでしまった。
「うわっと」
転びそうになりながらも僕は何とか踏ん張って耐える。

ふう……危ない危ない。何に躓いたんだろう? そう思いながら足元に視線を向けて、僕の体は石化したように固まった。
少女の足下には人が転がっていたのだ。
少女はこの人物を踏んでいたのだろう。
うわあ……最悪だよ。どうしよう? 僕が踏んだせいでこの人死んじゃったんじゃないよね? そんな僕の心配をよそに、少女はゆっくりとこちらを振り返る。そして、その綺麗な赤い瞳で僕を見ると……ニコリと微笑んだ。
「あ……」
なんて綺麗な笑顔なんだろう……それにとても可愛いな……あれ? なんでそんなに顔が赤いの? そう疑問に思った瞬間、僕の意識は闇に落ちていったのだった……。
私は周囲を見回して誰もいないことを確認すると、目の前に転がる男に声をかけた。
「あなた……私の下僕にならない?」
「……ん?ここは?」
目が覚めると僕は知らない場所にいた。
「あれ?」
確か路地で銀髪の女の子を見かけてそれから……そうだ!あの少女に声を掛けられたんだ!それでいきなり目の前が真っ暗になって……って、僕、もしかして気を失った?まずいな……どれくらい気を失ってたんだろう?今、何時なんだろう?」
そんなことを考えていると声が聞こえてきた。


「気が付いたみたいね」
それは先程見た銀髪の少女の声だった。
「あなたが私を助けてくれたの?」
僕はそう言いながら声のした方向に顔を向ける。そして、そのままピシリと固まった。
なぜなら少女の姿がすぐ目の前にあったからだ。それも僕を上から見下ろす形で……つまり、僕が今いるのはベッドの上ではなく、床の上だった。
なんで?なんで僕は床に寝ているんだ? というか……どうして僕の顔のすぐ前に顔があるんですか!近い!近すぎます!いい匂いもします!これじゃ心臓がバクバクいってしまいますよ! そんな僕に銀髪の少女は微笑みかけてくる。
「うふふ、私の下僕にならない?」
「え?なんですかいきなり」
意味がわからず困惑する僕に構わず少女は言葉を続ける。
「私の下僕になれば何でもしてあげるわ」
そう言うと少女はゆっくりと顔を近づけてきた。
ああ!もうダメだ!顔が近づいてくる!キスされちゃうのか!?それならもういっその事……って、あれ?この子の唇ってこんなに赤い色だったっけ?そもそも何でこんなにも近いんだ?というか……なんでこの子はこんなにも真っ赤な顔をしてるんだろう?「ねえ……私の下僕になってくれる?」
少女は僕の耳元に口を寄せて甘く囁いてくる。
あ、やばい。これ本当にキスされる流れだ。据え膳食わぬは何とやらっていうし……というか、こんな可愛い子にキスされるんなら本望だよね? そう思った僕はゆっくりと目を閉じて……って、あれ?そういえば……この子、どうしてこんなに顔が真っ赤なんだろう?それになんか息遣いも荒いような? そこで僕はやっと違和感に気付いた。
目の前にいる少女は僕にキスしようとしているのではない!そう!この子、僕の首筋の匂いを嗅いでいるんだ! それに気付いた瞬間、僕の顔に熱が集中していく。
「ちょ、ちょっと!何してるんですか!」
僕は慌てて少女の両肩を掴んで引き離す。
少女はきょとんとした表情で僕を見た後、小さく微笑んだ。
「ああ……やっぱりいい匂い……」
え?えっと……どういうこと?僕が戸惑っていると少女がまたとんでもないことを言い出した。
「私ね……あなたの事が好きなの!」
「……は?」
僕の頭は真っ白になるのだった。
「えっと……もう一度言ってもらってもいいですか?」
「あなたが好きなの!」
聞き間違いじゃなかったらしい。どうしよう?もしかして僕、告白されたの?というか……この子、本当に僕のことが好きなのか?それとも人違いじゃないのかな?でも、さっき僕の事を下僕って言ってたし……やっぱり僕のことが好きなんじゃないの?あ!そうだ!きっと僕をからかっているんだ!そうに違いない!うん、きっとそうだ!じゃあ、ここは男らしくちゃんと返事をしないとね!



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