毎日が長くて、振り返ると短い。3歳までの子育てという時間
「子どもが小さい時期は、あっという間だよ」
子育てをしていると、少し大きな子どもを持つ人や、自分の親世代からよく言われる言葉です。たしかに、過ぎてしまえば短く感じるのでしょう。
けれど、実際に3歳までの子どもを育てている最中は、そんなに簡単に「あっという間」とは思えません。
夜中に何度も起こされ、朝になれば休む間もなく一日が始まります。抱っこしても泣き、布団に置けば泣き、ご飯を作っても食べてくれません。外へ出れば突然走り出し、家へ帰ろうとすれば地面に座り込んで泣きます。
一日一日は、驚くほど長く感じます。
それでも数年後、写真を見返したときには、「こんなに小さかったんだ」と胸がいっぱいになるのかもしれません。3歳までの子育ては、大変さと愛おしさが、いつも隣り合わせになっている時間なのだと思います。
1. 赤ちゃんが生まれても、親はすぐに親になれるわけではない
子どもが生まれた瞬間から、大人は「お父さん」「お母さん」と呼ばれる立場になります。
しかし、赤ちゃんが生まれたからといって、すぐに何でもできる親になれるわけではありません。おむつの替え方も、抱っこの仕方も、泣いている理由も、最初は何も分かりません。
ミルクを飲ませたのに泣いている。おむつもきれいなのに泣いている。抱っこをしても泣き止まない。
「いったい、どうしてほしいの?」
答えてくれない赤ちゃんを前にして、途方に暮れることもあります。
育児書やインターネットには、さまざまな情報が載っています。ところが、書いてある通りにやってもうまくいかないことは珍しくありません。赤ちゃんにもそれぞれ個性があり、よく寝る子もいれば、ほとんど寝ない子もいます。たくさん飲む子もいれば、少しずつしか飲まない子もいます。
他の家庭と比べて、「自分の育て方が悪いのではないか」と不安になることもあるでしょう。
けれど、親も子どもと同じように、少しずつ成長していくものです。最初から完璧にできなくて当然です。昨日より少し抱っこが上手になり、先週より少し泣き声の違いが分かるようになる。その積み重ねで、親になっていくのだと思います。
2. とにかく眠れないことがつらい
3歳までの子育てで、特につらいのは睡眠不足ではないでしょうか。
生まれたばかりの赤ちゃんは、昼夜に関係なく泣きます。夜中にミルクを飲ませ、おむつを替え、ようやく眠ったと思って布団に置くと、また目を覚ましてしまいます。
寝かしつけに一時間かかったのに、三十分後には泣き声が聞こえる。そんな夜もあります。
大人にとって、まとまった睡眠が取れない生活は想像以上に苦しいものです。頭がぼんやりして、いつもなら気にならないことでイライラします。夫婦の会話も減り、ちょっとした言い方に腹が立つこともあります。
「こんなことで怒るつもりはなかったのに」
子どもが眠った後、自分の態度を反省して落ち込む日もあるでしょう。
ただ、睡眠不足の中で冷静でい続けるのは簡単ではありません。優しくできなかったからといって、愛情がないわけではないのです。疲れているときは、誰でも余裕をなくします。
家事が多少たまっていても、子どもが寝たら一緒に横になる。食事も毎回きちんと作ろうとせず、総菜や冷凍食品を使う。頼れる人がいるなら、遠慮せずに頼る。
子育て中は、生活を完璧に回すことよりも、親が倒れないことのほうが大切です。
3. 自分の時間がほとんどなくなる
子どもが生まれる前は、当たり前のように自分の時間がありました。
好きな時間にお風呂に入り、ゆっくり食事をして、眠くなったら寝る。休日には買い物へ行ったり、映画を見たり、何もせずに過ごしたりすることもできました。
ところが、子どもが生まれると、生活の中心は一気に子どもになります。
食事をしていても泣き声が聞こえれば中断します。お風呂も慌ただしく、トイレに入っていても扉の向こうから呼ばれます。飲み物を温かいうちに飲むことさえ、難しい日があります。
子どもはかわいい。それでも、一人になりたいと思う瞬間はあります。
静かな部屋で何も考えずに過ごしたい。好きな音楽を聴きたい。自分のためだけに時間を使いたい。
そう思った後で、「親なのに、こんなことを考えてはいけない」と自分を責めてしまう人もいるかもしれません。
しかし、一人になりたいと思うことと、子どもを大切に思うことは両立します。ずっと誰かの世話をしていれば、疲れるのは自然なことです。
短い時間でも、家族に子どもを任せて散歩をする。コンビニへ行くだけでも、一人で外の空気を吸う。子どもが昼寝をしている間は、家事ではなく好きなことをする。
ほんの少しでも自分に戻る時間があると、気持ちはずいぶん違います。
4. 1歳を過ぎると、別の大変さが始まる
赤ちゃんの頃は、眠れないことや授乳、おむつ替えが大変です。
一方で、歩き始める頃になると、今度は目を離せない大変さが始まります。
棚の物を全部出す。テーブルによじ登る。道路へ飛び出そうとする。スーパーでは商品を触り、公園では帰りたくないと泣きます。
言葉がまだ十分に話せないため、本人も思いを伝えられません。欲しい物が取れない、やりたいことを止められた、うまくできない。そんな悔しさを、泣いたり怒ったりして表します。
いわゆる「イヤイヤ期」が始まると、朝から晩まで「イヤ」と言われる日もあります。
服を着るのもイヤ。脱ぐのもイヤ。ご飯もイヤ。お風呂もイヤ。帰るのもイヤだけれど、その場にいるのもイヤ。
親としては、「では、どうしたいのだろう」と困ってしまいます。
時間に余裕があれば待つこともできますが、保育園や仕事の時間が迫っている朝は、そうもいきません。泣いている子どもを抱えて家を出ながら、こちらまで泣きたくなることもあります。
それでも、イヤと言えるようになったのは、自分の気持ちが育ってきた証拠でもあります。頭では分かっていても、毎日付き合うのはやはり大変です。
成長を喜ぶ気持ちと、「もう勘弁してほしい」という気持ちが同時にある。それも、子育ての正直な姿だと思います。
5. 周りの何気ない言葉に傷つくこともある
子育てをしていると、周囲からさまざまなことを言われます。
「まだ歩かないの?」
「母乳じゃないの?」
「一人っ子だとかわいそうだよ」
「保育園に預けるのは早くない?」
言った本人に悪気はなくても、毎日悩みながら子育てをしている親にとっては、深く刺さることがあります。
子どもの成長には個人差があります。家庭の事情もそれぞれです。外から少し見ただけでは、その家族がどんな思いで毎日を過ごしているのかは分かりません。
それでも、親は他人の言葉を気にしてしまいます。
もっと遊んであげたほうがいいのではないか。食事は手作りでなければいけないのではないか。テレビを見せすぎているのではないか。
考え始めると、何をしても足りないような気持ちになります。
けれど、子どもに必要なのは、何でも完璧にできる親ではありません。
疲れている日は簡単な食事でもいいですし、テレビに助けてもらう日があってもいいでしょう。いつも笑顔でいられなくても、怒った後に「さっきはごめんね」と伝えればいいのです。
親にもできないことがあり、失敗することもある。その姿を見ながら、子どもも人との関わり方を覚えていくのではないでしょうか。
6. 大変な毎日の中に、小さな喜びがある
3歳までの子育ては、本当に大変です。
自由な時間は減り、眠れない日が続き、思い通りにいかないことばかりです。昨日うまくいった方法が、今日は通用しないこともあります。
それでも、その毎日の中には、小さな喜びがあります。
初めて笑ってくれた日。寝返りができた日。つかまり立ちをした日。初めて「ママ」「パパ」と呼んでくれた日。
小さな手で指を握られただけで、疲れが少し軽くなることもあります。眠っている顔を見ながら、「今日も何とか終わった」と安心する夜もあります。
もちろん、かわいいだけでは乗り越えられない日もあります。
もう何もしたくないと思う日もあれば、誰かに全部任せて逃げ出したくなる日もあるでしょう。それでもいいのだと思います。
子育てを楽しめない日があっても、親失格ではありません。毎日ご飯を食べさせ、おむつを替え、危険がないように見守り、一日を終えている。それだけでも、十分に頑張っています。
まとめ
3歳までの子育ては、人生の中でも特に密度の濃い時間です。
子どもは昨日までできなかったことを突然できるようになります。一方で、親の気持ちは成長に追いつかず、戸惑ったり、疲れたり、落ち込んだりします。
毎日を丁寧に楽しもうと思っても、現実にはそんな余裕がない日も多いでしょう。
部屋が散らかっていてもいい。栄養の整った食事を作れない日があってもいい。笑顔になれない時間があってもいいのです。
子どもを今日まで育ててきたこと。その事実だけで、親は十分に頑張っています。
いつか子どもが大きくなったとき、今の慌ただしい毎日を懐かしく思う日が来るのかもしれません。
けれど、今は無理に懐かしもうとしなくていいのです。
大変な日は「今日は大変だった」と言っていい。疲れた日は「疲れた」と言っていい。周りに助けを求めてもいい。
長く感じる一日を、一日ずつ終えていく。
3歳までの子育ては、その繰り返しなのだと思います。
参考:
3歳までの子育て
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