「買ったつもり」がいつの間にか貯まっていた話




































































































































 

「つもり貯金」という言葉を初めて聞いたとき、正直なところ、そこまで期待していませんでした。

何かを買ったつもりになって、その分のお金を貯金する。考え方としてはわかりやすいです。でも、実際にそれでお金が貯まるのかというと、少し疑っていました。というのも、私はもともと節約が得意なタイプではなかったからです。

無駄遣いをしているつもりはないのに、月末になるとお金があまり残っていない。大きな買い物をした覚えもないのに、なぜか財布も口座も軽くなっている。そんな状態が何年も続いていました。

家計簿をつけようとしたこともあります。アプリを入れて、最初の数日はまじめに入力しました。ところが、コンビニで買った飲み物、仕事帰りのちょっとしたお菓子、ネットで買った小物などを毎回記録するのが面倒になり、すぐにやめてしまいました。

そんな私でも続いたのが、つもり貯金でした。


1. 最初はコンビニコーヒーから始めました

私が最初にやったのは、コンビニコーヒーのつもり貯金です。

毎朝のようにコンビニに寄って、コーヒーを買っていました。1杯120円くらいなので、そこまで高いとは思っていませんでした。むしろ「これくらいならいいだろう」と思っていました。

でも、ある日ふと計算してみると、平日だけでも1か月で約2,400円になります。土日にも買えば、3,000円を超えることもあります。1杯の金額は小さくても、毎日になると意外と大きいのだと気づきました。

そこで、コンビニコーヒーを買いたくなった日は、買ったつもりで120円を貯金箱に入れることにしました。とはいえ、最初から毎日やめるのは無理だと思ったので、「週に2回だけ我慢する」くらいの軽い感じで始めました。

これが思ったよりもよかったです。

我慢したというより、「今日は120円増えた」と思えるのが少し楽しかったのです。コーヒーを飲めなかった残念さより、貯金箱に小銭を入れる音のほうが気持ちよく感じる日もありました。

もちろん、どうしても飲みたい日は買いました。無理に全部やめようとすると続かないので、「買う日があってもいい」と決めていたのもよかったと思います。


 2. 外食したつもり貯金は効果が大きかったです

コンビニコーヒーで少し手ごたえを感じた私は、次に外食のつもり貯金を始めました。

仕事で疲れた日は、つい外で食べて帰りたくなります。ラーメン、定食、牛丼、カレー。どれも一回の金額はそこまで高くありません。でも、1,000円前後の外食が週に何回もあると、かなりの出費になります。

そこで、「今日は外食しようかな」と思った日に、家にあるもので済ませられそうなら、外食したつもりで1,000円を別の口座に移すことにしました。

これはコンビニコーヒーよりもかなり効果がありました。1回我慢するだけで1,000円。月に5回できれば5,000円です。数字として見えると、急にやる気が出ました。

ただし、ここでも完璧を目指さないようにしました。友人との食事や、どうしても食べたい店まで我慢すると、生活がつまらなくなってしまいます。なので、「なんとなく外食」を減らすことだけを意識しました。

実際、外食したい日には2種類ありました。

ひとつは、本当にその店の料理が食べたい日です。もうひとつは、家で用意するのが面倒なだけの日です。

つもり貯金を始めてから、この違いが少しずつわかるようになりました。本当に食べたい日は外食する。面倒なだけの日は、冷凍ごはんや卵、納豆、インスタントみそ汁で済ませる。そんな感じです。

見た目は地味な夕食でも、「今日は1,000円残った」と思うと、意外と満足できました。


3. 欲しいものを一晩寝かせるようになりました

つもり貯金を続けているうちに、買い物の仕方も少し変わりました。

以前の私は、ネットで気になる商品を見つけると、すぐに買ってしまうことがありました。スマホケース、収納グッズ、服、本、便利そうな家電小物。ひとつひとつは数百円から数千円くらいです。

高額ではないので、買うときの罪悪感もそこまでありませんでした。けれど、届いてみるとあまり使わなかったり、似たようなものをすでに持っていたりすることも多かったです。

そこで、欲しいものを見つけたら、すぐに買わずに一晩置くことにしました。そして翌日になっても本当に欲しければ買う。気持ちが冷めていたら、買ったつもりでその金額を貯金するようにしました。

これが思った以上に効果的でした。

夜に見ていると、なんでも魅力的に見えます。疲れているときほど、「これがあれば生活がよくなるかも」と思ってしまいます。でも、朝になると「別になくてもいいか」と思うことがかなりありました。

そのたびに、買ったつもりで1,500円、2,000円、時には5,000円を貯金しました。

不思議なことに、買わなかったもののことは、数日後にはほとんど忘れていました。つまり、その程度の欲しさだったのだと思います。反対に、何日たっても気になるものは、本当に欲しいものとして買うようにしました。

この習慣ができてから、部屋に余計なものが増えにくくなりました。お金が残るだけでなく、物も増えすぎない。これは思っていなかったうれしい変化でした。


4. 貯金額よりも、気持ちが変わったことが大きかったです

つもり貯金を始めて半年ほどたったころ、貯金用の口座を確認してみました。金額は約7万円になっていました。

ものすごい大金というわけではありません。でも、私にとってはかなり大きな金額でした。なぜなら、無理な節約をした感覚があまりなかったからです。

毎日苦しみながら切り詰めたわけではありません。食べたいものを全部我慢したわけでもありません。欲しいものを一切買わなかったわけでもありません。

ただ、「なんとなく使うお金」を少しずつ減らしただけです。

つもり貯金をしてよかったと思うのは、お金が貯まったことだけではありません。自分が何にお金を使いやすいのか、どんなときに財布のひもがゆるむのかがわかるようになったことも大きかったです。

私の場合、疲れているとき、退屈なとき、少し嫌なことがあったときにお金を使いやすい傾向がありました。コンビニで甘いものを買う。ネットで小物を買う。外食して気分転換する。そういう使い方が多かったのです。

それが全部悪いとは思いません。むしろ、そういう小さな楽しみで気持ちが軽くなることもあります。

ただ、毎回お金で気分を変えようとすると、あとで少し苦しくなります。つもり貯金を始めてからは、「これは本当に必要かな」「今日は買わなくても大丈夫かな」と一度立ち止まるようになりました。

この一呼吸があるだけで、かなり違います。


5. つもり貯金はゆるいくらいが続きます

つもり貯金を続けるコツは、完璧にやろうとしないことだと思います。

毎回きっちり金額を合わせなくてもいいです。120円のコーヒーを我慢したから120円、ではなく、ざっくり100円でもいいと思います。外食をやめた日は1,000円、ネットショッピングをやめた日は2,000円。そんなふうに、自分がわかりやすい金額で続けるほうが楽です。

また、現金の貯金箱でも、銀行口座でも、スマホの貯金アプリでも、自分に合う方法なら何でもいいです。私は最初は貯金箱を使い、途中からネット銀行の別口座に移すようにしました。

貯金箱は小銭を入れる楽しさがあります。一方で、別口座は金額がはっきり見えるので、増えていく実感があります。どちらにもよさがあります。

大事なのは、「我慢した自分は偉い」と少しだけ思える形にすることです。節約を苦しいものにすると、長く続きません。でも、つもり貯金はゲーム感覚に近いところがあります。

今日はコンビニに寄らなかったから100円。
外食せずに帰ったから1,000円。
欲しかった服を一晩考えてやめたから3,000円。

こうして積み上げていくと、小さな選択がちゃんと形になっていきます。


 6. お金を貯めるのが少し好きになりました

以前の私は、貯金という言葉に少し重たい印象を持っていました。

節約しなければいけない。無駄遣いをやめなければいけない。もっときちんと管理しなければいけない。そう考えると、始める前から疲れてしまいました。

でも、つもり貯金は少し違いました。

「買ってはいけない」ではなく、「買ったつもりで残してみる」という感じです。言い方が変わるだけで、気持ちもずいぶん変わります。

もちろん、つもり貯金だけで大きな資産が作れるわけではないかもしれません。家計全体を見直す必要がある人もいると思います。それでも、最初の一歩としてはかなり始めやすい方法でした。

私にとって一番大きかったのは、「自分にもお金を貯められるんだ」と思えたことです。

少額でも、続ければちゃんと増えます。増えるのを見ると、また少し続けたくなります。そして、使う前に考える習慣がついてきます。

今でも私は、完璧な節約家ではありません。コンビニにも行きますし、外食もします。欲しいものを買う日もあります。

けれど、以前よりはお金との付き合い方が少し落ち着きました。何でもかんでも我慢するのではなく、使うところと残すところを自分で選べるようになった気がします。

つもり貯金は、特別な知識がなくても始められます。財布に小銭を入れるだけでも、別口座に少し移すだけでも大丈夫です。

今日買おうと思っていた飲み物を一回だけやめてみる。なんとなく欲しくなったものを一晩だけ待ってみる。外食しようと思った日に、家にあるもので済ませてみる。

そんな小さなことでも、続けていると意外とお金は残ります。

そして、お金が残ると、少し気持ちにも余裕が生まれます。大きなことをしなくても、日々の小さな選択で変わるものはあるのだと、つもり貯金を通して感じました。

参考:賢く暮らす