「僕がゲームをするのは死なない理由だから」。
当時中学2年生のヒカル君(仮名)は言いました。お母さんは、「ヒカルがこんなことを言うなんて・・・」と衝撃を受けました。
ヒカル君は、中学受験を経て、今の学校に入学しました。ところが、2年生から登校できなくなりました。昼夜逆転で、ゲームをし続けるヒカル君。何とかゲームをやめさせようと、お父さんがルーターを外した時は、大暴れをしました。
なし崩し的にゲームを許すと、家族が寝静まった後も大声でゲームをします。その声に父母とも目が覚めて睡眠不足に。当然、本人も朝、起きられません。
困り果てたお母さんが「なんでそこまでしてゲームするの?」と聞いたところ、ヒカル君は「僕がゲームをするのは死なない理由だから」。と答えたのです。
それを聞いたお母さんは、ゲームが不登校の原因ではないことに気づきました。そして、カウンセリングや依存症外来を転々としました。専門家は言います。
「エネルギーがたまるまで見守ってあげましょう」
アドバイスに、納得は行くものの、帰ったあと、自宅で何をすればいいのか分かりません。そして、最後にたどり着いたのが言葉かけでした。
2週間に一度の個別電話相談を継続しました。それから6か月後・・・。
ヒカル君は、中学校の体育館に同級生たちと立っていました。3年生の始業式に参加できたのです。そこから、卓球部にも入部。登校を再開し、卓球の試合にも出場できるようになりました。「もう行かなくなったりはしない。」とヒカル君から聞いた時、お母さんは思わず胸が熱くなりました。
ヒカル君はその後、無事、高校受験を経て高校生になっています。